キリンビール園アーバン店は今どうなった?閉店理由と跡地の現在を追う
札幌・すすきのの中心部に位置し、長年にわたり地元民や観光客の喉と胃袋を満たしてきた大型ビアホール「キリンビール園 アーバン店」。工場直送の新鮮な生ビールと豪快なジンギスカン食べ放題を目当てに、毎夜のように歓声が響き渡っていた名所ですが、現在その姿やすすきのにおけるビールの勢力図はどう変化したのでしょうか。
ネット上では「閉店の理由は経営破綻なのか」「アーバン札幌ビルの跡地には今何があるのか」「将来的な再開予定はあるのか」といった疑問や惜しむ声が今なお絶えません。本稿では、かつて一時代を築いたキリンビール園アーバン店の歩みを振り返りつつ、閉店に至った決定的な背景、現在のビルの実態、そして札幌ビアホール市場の現在地までを徹底取材に基づいて多角的に解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:キリンビール園アーバン店は情勢変化に伴う団体需要の消失や契約区切りが重なり、惜しまれつつ完全閉店した。
- 要点2:アーバン札幌ビル跡地は別テナントへと転換され、中島公園の本館に続く撤退で「キリンビール園」ブランドは札幌都心から姿を消した。
- 要点3:現時点で同屋号の再開予定はなく、キリン一番搾りやジンギスカンを愉しむ選択肢は提携ビアホールや専門店へと受け継がれている。
かつて賑わった名店の今|アーバン札幌ビル跡地の現状と歩み
札幌市中央区南3条西4丁目、地下鉄すすきの駅から直結する利便性を誇る「アーバン札幌ビル」。その2階で約400席もの圧倒的なキャパシティを誇り、圧倒的な存在感を放っていたのがキリンビール園アーバン店でした。広大なホールに響くジョッキのぶつかる音、網の上で煙を上げる特選ラム肉の香ばしさは、昭和から平成、そして令和の初頭にかけて、すすきのの夜の象徴的な光景でした。
現地を訪れると、かつてエスカレーターを上がった正面で来客を迎えていた巨大なキリンビールのロゴ看板や専用カウンターはすでに取り外されています。現在の跡地フロアは、空間の広さを生かした別の大手飲食チェーンやアミューズメント関連のテナントへと生まれ変わり、内装も完全に刷新されました。ビル自体は今も多くの若者やビジネスパーソンで賑わいを見せていますが、かつてフロア全体を包み込んでいた「豪快なビアホール特有の喧騒」は過去の記憶となっています。
札幌の飲食事情に詳しい地元関係者は「アーバン店は、企業の大規模な忘年会や修学旅行生、インバウンドの大型バスツアーを難なく飲み込める数少ない受け皿だった。あの規模のビアホールが街の中心部から姿を消した喪失感は、単なる1店舗の閉店にとどまらないインパクトがあった」と振り返ります。

キリンビール園アーバン店の閉店理由はなぜか?重なった構造的要因
多くのファンに愛されていた同店がなぜ営業終了の決断を下さざるを得なかったのか。その背景には、単一の理由ではなく複数の構造的な変化が複雑に絡み合っていました。
第一の決定打となったのは、世界的な感染症拡大に伴う大型団体客の完全消失です。キリンビール園アーバン店の強みであった数百人規模を収容するメガフロアは、平時の高稼働時には莫大な利益を生む反面、固定費(賃料・光熱費・人件費)の負担が極めて重いビジネスモデルでした。宴会自粛や観光バスの激減により客席稼働率が限界まで落ち込み、広いスペースそのものが財務上の重荷となった事実は否めません。
第二に、先行して実施された「キリンビール園 本館(中島公園店)」の閉鎖による相乗効果の喪失が挙げられます。歴史ある中島公園の本館が建物の老朽化や敷地活用方針の変更によって2018年に閉鎖された後、グループのブランド発信拠点はアーバン店に集約されていました。しかし、フラッグシップであった本館の広大な庭園ロケーションを失ったことで、ブランド全体が持つ観光資源としての牽引力が徐々に弱まっていた側面があります。
そして第三に、テナント賃貸借契約の更新タイミングとグループ再編です。外食市場全体の縮小が懸念される中、多額の設備更新コストを投じて契約を延長するよりも、事業ポートフォリオを再編してリスクを抑える経営判断が下された形です。関係者間では「赤字垂れ流しを避けるための極めて合理的、かつ苦渋の撤退戦略だった」と受け止められています。
【データ比較】札幌主要ビール園の変貌と現在のスペック検証
札幌市内には歴史的にビール各社が展開する大型ビアホールが群雄割拠してきました。キリンビール園アーバン店の撤退前後で市場がどのように変化したのか、競合各社の現状とスペックを比較整理しました。
| 施設・店舗名 | 特徴・提供銘柄 | 収容規模・立地 | 編集部の見解・現在のステータス |
|---|---|---|---|
| キリンビール園 アーバン店(閉店) | キリン一番搾り各種 味付け&生ラムジンギスカン | 約400席 地下鉄すすきの駅直結 | 2020年秋に完全閉店。跡地は別テナントへ。駅直結の利便性は随一だった。 |
| サッポロビール園(開拓使館等) | サッポロ生ビール黒ラベル クラシック / 伝統の成吉思汗 | 計2,000席超 東区苗穂(バス・タクシー推奨) | 観光の殿堂として圧倒的集客力を維持。歴史的赤レンガ建築の情緒が最大の強み。 |
| アサヒビール園 白石 はまなす館 | スーパードライ各種 特選羊肉食べ放題 | 約1,000席規模 白石区(工場隣接エリア) | 工場隣接の鮮度感で人気を博してきたが、市場再編の影響を注視する声も多い。 |
| キリンシティ / ビアダイニング各店 | 3回注ぎの一番搾り クラフトビール / 自社料理 | 50〜80席前後 札幌駅周辺・都心商業施設 | メガ宴会型から「品質重視の小中規模バル」へ。現在のキリン派の主力を担う。 |
上表が示す通り、札幌のビール園業界は「郊外型の歴史的巨大テーマパーク(サッポロビール園)」と「駅近・商業施設内のクラフト&バル型小規模店」へと二極化が進みました。アーバン店が担っていた「都心ど真ん中で400人がジンギスカンを囲む」という中間的ポジションは、維持コストの観点から最も淘汰の波を受けやすかった領域といえます。

【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えたリアル
アーバン店が営業していた当時、実際に現場を利用していた道民や観光客はどのような体験価値を感じていたのでしょうか。SNSやレビューサイトに残る当時の反響を精査すると、同店ならではの独自の強みが浮かび上がります。
多くのレビュアーが絶賛していたのは、「雨や雪に一切濡れずにたどり着けるジンギスカン食べ放題」という圧倒的なアクセスの良さでした。札幌の冬は厳しい吹雪に見舞われる日も多く、郊外のビール園までタクシーや送迎バスで移動するのは観光客にとってハードルとなります。アーバン札幌ビルはポールタウン(地下街)から直結しているため、悪天候でも快適に移動できる点がビジネスの宴会幹事から重宝されていました。
また、食事面では「タレ漬けの味付けジンギスカン」と「生ラム肉」の両方が食べ放題コースに組み込まれており、異なる北海道の羊肉文化を1つのテーブルで比較できる点が好評を博していました。冷えたジョッキに注がれる『キリン一番搾り』のキレ味と、程よく脂の落ちたラム肉の相性は抜群で、「ビールが何杯でも進む」という書き込みが連日投稿されていたものです。
一方で、末期には「週末の人員不足によるオーダー遅延」や「設備の経年劣化」を指摘する声も散見され、運営オペレーションが曲がり角を迎えていた兆候も見て取れます。とはいえ、突然の閉店告知の際には「学生時代の打ち上げはいつもここだった」「会社の納会といえばアーバン店だったのに」と、長年の思い出を語り惜別を告げるコメントがネット上に溢れかえりました。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|再開予定の真相
閉店から月日が流れた今でも、インターネットの検索窓には「キリンビール園 再開 予定」というキーワードが浮上します。しかし、ここにはいくつかの誤解が混ざり合っています。
まず検証すべきは、「キリンビール園の復活オープン計画はあるのか」という疑問です。取材班が公式発表や流通関係の情報を確認した限りにおいて、札幌市内ですすきの・中島公園時代のような「大規模な直営ジンギスカンビアホール」を新規開拓・再開する計画は存在しません。キリングループの飲食戦略は現在、高品質な樽生体験を提供するビアパブや、地域密着型の提携飲食店への供給へと舵を切っています。
ネット上で「再開したらしい」と噂される背景には、札幌駅周辺や大通界隈でオープンした「キリンビールを主力とする個別の大型居酒屋やビアホール」の存在があります。これらは独立した飲食店運営会社がキリン一番搾りを看板に掲げてジンギスカンを提供している事例であり、かつての「キリンビール園」が屋号として復活したわけではありません。
「ビール園」というノスタルジックな巨大空間を求めているユーザーがこれらの情報を誤認し、再開したと勘違いしてしまうケースが後を絶たないため、訪問前の正確な情報精査が不可欠です。

【プロの結論】札幌ビアホール文化の地殻変動から見出すべき教訓
キリンビール園アーバン店の退場とそれに続く札幌飲食シーンの変化は、消費者の行動様式が構造的に転換した結果を如実に物語っています。かつての「大箱に全員が集まり、画一的な食べ放題で気勢を上げる」という昭和・平成の飲み会カルチャーは、令和に入り確実に多様化・個別化へとシフトしました。
現代のユーザーが札幌のグルメ体験を選ぶ基準は、単なる「安さと量」から「その店でしか味わえない希少部位や職人の焼き技」、あるいは「洗練された空間でのペアリング」へと移行しています。大型ビアホールが担ってきた宴会文化の価値が失われたわけではありませんが、メガフロアを維持するためのリスク管理は極めてシビアになっています。
【おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準】
現在の札幌でジンギスカンや本格生ビールを楽しみたい読者に向けて、後悔しない選択の指針を提示します。
- 大型ビアホール(サッポロビール園など)を選ぶべき人:
歴史的建造物の非日常感や観光気分の高揚を最重視するグループ。30人以上の団体宴会や、北海道らしいスケール感を体験したい修学旅行・社員旅行の幹事。 - すすきの・大通の専門店やバルを選ぶべき人:
アクセスの良さを優先し、厳選されたアイスランド産ラムや生後数ヶ月の上質肉をじっくり味わいたい少人数の食事。移動の時間を省き、2次会へスムーズに移行したい個人旅行者。 - 慎重になるべきパターン:
「昔のキリンビール園と同じ感覚」を求めてネット検索だけで店を決めてしまうケース。大箱だと思って予約したら小規模なバルだった、あるいは食べ放題目当てだったのにアラカルト中心だったといったミスマッチを防ぐため、席数と提供スタイル(セルフ焼きか調理提供か)を事前に確認することが肝要です。
【キリンビール園アーバン店】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:キリンビール園アーバン店は今、別の場所に移転して営業していますか?
A1:移転営業は行っていません。2020年9月のアーバン店閉店、および2018年の中島公園本館閉店をもって、札幌市内における「キリンビール園」の直営大型店舗の歴史は完全に幕を下ろしています。
Q2:アーバン札幌ビルの跡地には現在どのような施設が入っていますか?
A2:アーバン店のあった2階フロアは全面的に改装され、大手飲食チェーンなどの他テナントが入居して営業しています。キリンビール園の設備や看板は残されていません。
Q3:現在、札幌市内でキリン一番搾りの美味しい生ビールとジンギスカンを両方楽しむにはどうすれば良いですか?
A3:キリンビールをメインに取り扱うすすきの周辺の居酒屋や、大手ジンギスカン専門店(キリンビール取扱店)を利用するのが最適です。また、ビールの注ぎ方や鮮度にこだわる場合は、札幌駅周辺などの「キリンシティ」で本格生ビールを味わった後にジンギスカン専門店へ向かうというハシゴ酒ルートも推奨されます。
まとめ:愛された名店の記憶と進化する札幌グルメの選び方
キリンビール園アーバン店の閉店は、長年親しんできた多くのファンやすすきのの街にとって大きな節目となりました。時代の荒波の中でメガビアホールとしての役目を終えたものの、そこで交わされた乾杯の思い出や、工場直送ビールとジンギスカンがもたらした熱気あふれる食体験は今も人々の記憶に深く刻まれています。
名店の消滅という事実を受け止めつつ、現在の札幌にはそのDNAを継承しながら、より細やかなサービスや専門性を高めた魅力的な飲食店が数多く誕生しています。過去のノスタルジーに浸るだけでなく、新しく進化した札幌のビア&グルメシーンへと足を運び、自分だけのお気に入りの一軒を見つけてみてください。 (出典: キリン ビール 園 アーバン 店(Yahoo!ニュース))